こんにちは。
今回は自費診療について説明したいと思います。
一般の方からとすると自費診療と保険診療は何が違うのかはっきり分からない方も多いと思います。
何となく矯正とかインプラント、セラミック、ホワイトニングは自費であるということは知っているかもしれませんが、それ以外にもそれ以外の要素でも多々あります。
簡単に言うと、保険診療では使用が認められていない素材や材料が存在し、保険診療ではできない手間・暇をかけることができ、保険診療では認められていない治療も存在します。
例えば自分が映画監督だとして、キャストや撮影場所、撮影期間がすべて指定されおり尚且つある程度の完成度と興行収入を求められるのが保険診療です。自費診療は同じ内容の映画を撮るとして好きなキャスト、好きな撮影場所で好きなだけ時間をかけて撮影が許される。ただし完成度や興行収入は完璧に近いものを要求されるのが自費診療です。
保険診療だと神経を抜かざるを得ない様な深い虫歯でも自費診療であれば神経を抜かずに温存できることもありますし、根っこだけが残った深い虫歯で保険診療では被せ物を被せることができないため抜歯しか選択肢がない歯でも自費診療だと抜歯をせずに歯を温存できることもあります。
さてこの辺の自費診療の話はいつかすることとして今回はセラミックの話です。
セラミックのメリットとしては
生体親和性が高いためアレルギーが起きづらい
見た目が良い
プラークが(歯垢)が付着しづらいため二次虫歯や歯周病になりにくい
セラミックは歯茎と付着するため歯茎が下がりづらい
保険診療で使われるレジンと違って変色等が起きない 等です。
デメリットとしては
自費診療のため高額になる(当院では1本につき82500~132000円(税込))
噛み合わせによっては割れたり欠ける可能性がある。
金属と比べると削る量は多い 等です。
右下の奥歯に銀歯の被せ物があります。正確にはブリッジと呼ばれる両端の2本で3本分の歯を補っている被せ物です。
上から見た状態です。
今回は見た目の改善のためこれらの銀歯を白いジルコニアという材料を用いてやり直した例です。
今回は割愛しますが、この様に歯を1本失ってしまった場合失った歯を補う治療法として今回の様なブリッジ、入れ歯、インプラント、歯の移植等ありそれぞれメリット・デメリットがあるため個々の患者さんに応じ治療法を選択していきます。
この後金属を除去し形を整え型を採る準備をします。型を採る時は今回は自費診療なのでシリコンで型を採ります。
歯医者で型を採るというと、既成のトレーに冷たいピンクの粘土みたいなのを盛って型を採るのを想像する方が多いと思います。それも間違いではありませんが、前述の様に自費診療は精度が要求されるのでより高い精度で型を採れるために患者さんの口に合ったオーダーメイドのトレーとシリコンを使用し型を採っていきます。
また、歯茎の中に糸を二重に入れ、歯と歯茎の境目を明瞭にし技工士さんが正確に被せ物を作れるように最大限配慮しています。
これが前述した保険診療ではできない手間・暇です。
こうして実際にブリッジが新しく入った状態です。
上から見た状態です。
なぜ歯科医師が自費診療を勧めるかというと単純に見た目以外にも上述の様な多くのメリットがあり結果的に永く歯を残せる確率が上がるからです。
一部メディア等では自費診療を勧める歯科医師を揶揄することがあるかもしれません(当院では問診票で保険内で診療を希望するに✓した方には自費診療の話、選択肢は一切勧めません)。
果たして歯科医師がもし自分が被せ物が必要になった時に保険診療の被せ物を選択するでしょうか(そもそも被せ物が必要ない様な環境作りが大切です)。
自分の奥さんや子供の治療をする時に保険診療の被せ物を入れるでしょうか。
恐らくほとんどの歯科医師が自費を選択すると思います。
もちろん保険診療がダメと言っている訳ではありません。
また、どんなに自費診療で精密に治療し良い素材で治療をしても天然の自分の歯にはあらゆる物性で敵わないため当然ながら虫歯や歯周病に極力ならないようにすることが一番大切です。
普段そんなことを考えながら診療しております。
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